素材について
選び抜かれた国産丸大豆を使っています
大豆について
大豆は縄文時代から栽培されているお豆です。
大豆の名前は「大いなる豆」に由来すると言われており、「畑の肉」とも称されるほど豊富なたんぱく質をはじめ、食物繊維、鉄分、イソフラボン、サポニン、レシチンなど様々な成分が豊富に含まれています。
国産の大豆は一般的にたんぱく質や糖分が多く、お豆富づくりに適していると言われています。一方で、輸入大豆(アメリカ、カナダ産が主流)は油分が多く搾油に適していると言われています。
当工房では、国産丸大豆である宮城県産のミヤギシロメと岐阜県産の
フクユタカを主に使用しています。
ミヤギシロメは、大粒白目品種で糖分とたんぱく質のバランスがよく、甘みが強くクリーミーな味わいが特徴で、お豆富以外ではお菓子などにも多く使われています。フクユタカは高たんぱく質でバランスのとれた味わいが特徴です。
にがりについて
海水から塩を採取した残りのミネラル分を多く含む粉末または液体がにがりです。
その成分は、塩化マグネシウムが主で、ナトリウム、カリウムを含みます。
当工房では、能登半島珠洲市で江戸時代から続く「揚げ浜式製塩」の
伝統を今も伝える、角花家が作るにがりを主に使用しています。
「揚げ浜式製塩」は、海水を濃縮して、平釜で煮詰めて結晶化する方法で、2008年に国指定重要無形民俗文化財に指定されました。
能登半島の先端-石川県珠洲市の沖合は暖流(対馬海流)と寒流(リマン海流)が交じり合い、水質が豊かで身の引き締まった美味しいお魚が数多く水揚げされている日本海有数の漁場です。珠洲の塩は、そうした豊かな海水から作られるので旨みが強いのが特徴です。
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能登の揚げ浜式塩田
お豆富ができるまで
大豆、凝固剤、水。お豆富の材料はこの3つだけです。しかし、原料大豆と凝固剤の違いだけでなく、気温や水温による浸漬の具合の違いから始まり、摩砕、煮沸、絞り、凝固、水さらしなど、関わる全ての工程がお豆富に違いをもたらします。
❶ 受入 | 豆問屋さんから納入される大豆の表示、外観、品種等を確認します |
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❷ 洗浄 | 大豆を水洗いします |
❸ 浸漬 | 大豆を摩砕しやすくするために水に漬けます。漬ける時間は気温によって変わります。 |
❹ 摩砕 | 浸漬し水分を含んで大きくなった大豆を細かく砕きます。 昔は石臼で挽いていましたが、現在はグラインダーが一般に用いられます。 摩砕は、大豆の細胞を破り、たんぱく質等の成分抽出に役立ちます。 注水しながら行いますが、水量によって豆乳濃度を調整します。 摩砕したものを生呉(なまご)と言います。 |
❺ 加熱 | 生呉を加熱します。昔は釜を直火で加熱(地釜)していましたが、現在はボイラーによる蒸気加熱が主流です。 ボイラーを使うことで、豆富の味わいに強く係わる釜温度の上昇具合、加熱温度を制御しやすい利点があります。 |
❻ 分離 | 絞りとも言います。加熱した呉(煮呉)を豆乳とおからに分離します。 昔は煮呉を布袋に入れ、手作業で絞る重労働でしたが、現在は絞り機を利用します。 |
絹ごし豆富
布を敷かない型箱の中で、豆乳ににがりをうってお豆富を作ります。その後の水さらし等はもめん豆富と同様に行います。圧搾をしないため、豆乳濃度が高いお豆富になります。
もめん豆富
豆乳ににがりをうって固めたものを、布を敷いた型箱に崩しながら入れます。その後、一定の圧力をかけて水分を出して成型し、水にさらして、もめん豆富ができます。
よせ豆富
絹ごし豆富を作る工程で、型箱の中のお豆富を器に盛ってよせ豆富を作ります。
水さらしをしませんので、大豆の風味を一番に楽しめます。
別名、おぼろ豆富とも言われ、これはおぼろ月夜のもやもやとした状態に似ているからとも言われています。